
日本の温泉の町と、その違い
三つの町、足元の湯への三つの答え。箱根はひとつの山にたくさんの源泉を積み重ね、城崎はひとつの湯を通り全体に配り、別府は湯があまりに多くて、入ることが日常になりました
最終確認: 2026-08-15
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Year round, with the cold months as the window enthusiasts plan around: steam becomes visible, crab comes into season on the Sea of Japan coast, and a hot bath does more for you. Two of Kinosaki's seven bathhouses are closed for renovation at present.
どの温泉地にしようかと旅の掲示板で尋ねると、そんなに変わりませんよ、とやさしく返してくれる人がいます。お風呂はお風呂、よほどの通でなければ全国どこも似たようなものだ、と。それはそれで正直な答えだと思いますし、私は、面白いのはそこから先だとも思っています。
日本の温泉には、脱衣所の壁に一枚を掲げる決まりがあります。温泉分析書です。どの源泉から引いた湯なのか、地面から湧き出たときの温度は何度だったのか、毎分どれくらいの量が出ているのか、検査した人がその湯に何を見て、何を嗅ぎ、どんな味を感じたのか、そして酸性からアルカリ性までの物差しの上で中性からどれだけ離れているのか。たいていの人は、タオルを小脇に抱えたままその前を素通りします。一度でも読んでみると、目の前の湯船が、どこかの地面に開いた特定の穴から来た特定の湯に変わって、次の問いがひとりでにやってきます。この町は、湧き出たものをどう使うことにしたのだろう、と。
その答えが三つの町でまるで違っていて、しかも三つは遠く離れています。箱根はひとつの山の中にたくさんの湯を積み重ねました。城崎はひとつの湯を町全体に配って、通りを湯と湯をつなぐ廊下として扱っています。別府は湯があまりに豊かで、特別な出来事という感じが薄れ、仕事帰りに体を洗う場所になりました。三つとも聞きに行くなら、私はこの線をたどります。東京から西へ、それぞれ2泊ずつ。まるごと使ってもいいですし、ひと区切りだけ抜き出して、読み方だけをどの町へでも持っていっても構いません。
拠点をどこに置くか
箱根。 私なら最初の一泊は箱根湯本の近くにします。山の上のものはすべてここでつながっていますし、着いてから数分で湯に浸かれるからです。二泊目に少し上へ移ると、別の源泉と、より静かな夜が待っています。箱根は広く散らばっていて、山の上の夜は本当に暗く、そして早いです。それを好きな人もいれば、長く感じる人もいます。
城崎。 町そのものに泊まってください。ほとんどの宿が、チェックインのときに外湯のパスを渡してくれます。浴衣と下駄も一緒です。このパスこそが、この町がこういう町であることの理由です。日帰りでも来られますが、外湯は別料金になりますし、夜の十一時に下駄で歩いて帰るあの時間は味わえません。
別府。 ふたつの雰囲気から選べます。鉄輪は坂の上の湯けむりの町で、家と家のあいだの地面から湯気が立ちのぼり、地獄めぐりも歩いていける距離です。別府駅のまわりは、列車と、古い木造の共同浴場と、仕事帰りの人が使う小さな町の湯に囲まれます。私はどちらも、それぞれの旅で来てよかったと思っています。
三つの町にはそれぞれガイドがありますので、細かいところはこのページではなくそちらに置いてあります。箱根、城崎温泉、別府温泉です。
移動ときっぷ
箱根はきっぷ1枚で回れます。 箱根フリーパスが、電車、スイッチバックの登山鉄道、ケーブルカー、ロープウェイ、芦ノ湖の遊覧船、エリア内のバスをカバーし、新宿からの往復も含みます。つまずきやすいのは、ロマンスカーだけは別に特急料金がかかることです。パスがカバーするのは通常運賃までで、特急の指定席は含みません。金額は下の欄にあります。
箱根から西はJRです。 城崎温泉行きの特急は、京都と新大阪から上っていきます。全席指定です。当日ホームでは間に合わないので、前もって予約しておいてください。九州は小倉まで新幹線、そこからソニックで海沿いを下って別府へ入ります。
荷物は先に送ってしまいましょう。 温泉の町は細い路地と砂利と石段と古い建物でできていて、宿はキャリーケース向きにはできていません。一泊分の手荷物だけ持って、あとは配送の伝票を書く。それだけでこの旅程はぐっと楽になります。
小さな湯には小銭を。 ICカード1枚で、在来線も箱根のバスも別府の亀の井バスも通ります。例外は町の小さな共同浴場で、現金のみのところがかなりあり、入口の箱に入れる形のことも珍しくありません。小銭を持っておいてください。
箱根と、壁に貼られた分析書

ここから始めるのは、箱根がこの読み方をいちばん覚えやすくしてくれるからです。ロマンスカーは箱根湯本まで運んでくれます。言い伝えではここがこれらの湯の中でいちばん古く、いまも山じゅうの鉄道とバスがここから伸びていく乗換の要です。着いて一時間もしないうちに、湯に浸かっていられます。服を脱ぐ前に、ロッカーのそばの額に入った一枚を見てみてください。いちばん上に書かれた名前は源泉のもの、あなたの頭の上のどこかで地面に開いている穴の名前です。その下の行には、湯がその穴を出たときの温度、湧き出る速さ、検査した人が見つけた色と匂いと味、そして中性からどれだけ離れているかが記されています。箱根はふつう、十七の湯を持つ土地として紹介されます。この十七は温泉場の数え方で、浴場ひとつひとつを数えたものではありません。それぞれが自分の湯を持っています。午後のうちに越えられてしまう山にしては、不思議なほどの多彩さです。
- 午後箱根湯本へロマンスカーは早川沿いに入ってきて、ドアが開いた瞬間に空気が変わります。湯本は登山鉄道とバスと町が交わる場所なので、まずここに降りて荷物を置いて始めるのがいちばん楽です。この一帯は箱根ガイドできちんと扱っています。
- 夕方前最初の一枚を読む日帰り入浴を受けているお風呂ならどこでもいいので、入る前に分析書へ二分だけ目を通してみてください。やさしいのは知覚的試験の行です。誰かが実際にこの湯を見て、匂いを嗅いで、口に含んで、感じたことを書き留めています。そのうえで湯に入って、自分も同じように感じるか確かめてみてください。
- 夜山から人が引いていく日帰りのお客さんが下りの電車に乗ってしまうと、箱根は静かになります。宿で夕食が出るなら、ゆっくり過ごすといい夜です。出ないなら、湯本の目抜き通りが山の中でいちばん選択肢が多いです。ただ、思っているより早く店じまいします。
階を上がっていく

箱根の観光協会は、この山を湯のデパートだと説明しています。階ごとに泉質が違うのだ、と。噴気孔に近い上のほうは酸性の硫酸塩泉、下のほうは塩化物泉、いちばん下は混ざり合った湯。今日はその中を上がっていきます。登山鉄道は曲がるたびに進行方向を変えて登り、ケーブルカーとロープウェイが尾根を越えて大涌谷まで運んでくれます。地面はいまも噴気を上げていて、景色より先に匂いが届きます。今夜お風呂に入れば、昨夜浸かった湯とは違うはずです。
- 午前スイッチバックで強羅へ箱根登山鉄道はジグザグに登り、切り返しのたびに進行方向を変えます。そのたびに運転士と車掌が前後を入れ替わります。日本の鉄道でもとりわけ愛らしい仕掛けのひとつで、フリーパスでそのまま乗れます。
- 昼前大涌谷、湯の生まれるところケーブルカーからロープウェイへ乗り継ぐと噴気孔の真上を渡ることになり、まだ空中にいるうちに匂いが届きます。駅のテラスからは、湯気の中をまっすぐ見下ろせます。噴気孔のあいだを実際に歩くのは別のもので、事前予約制、ヘルメット着用、安全誘導員が付き、案内は日本語のみで行われます。そこを軸に午前を組み立てる前に、知っておく価値があります。どちらにしても、ここがあのデパートの最上階です。これを見ておくと、山の下のお風呂と山の上のお風呂がどうして違って感じられるのか、いちばん早く腑に落ちます。
- 午後湖、あるいは彫刻の森浅瀬に立つ鳥居のある芦ノ湖は絵はがきそのもので、遊覧船もフリーパスに入っています。晴れた日には湖の向こうに富士山が姿を見せますし、見せない日もたくさんあります。ですから、山を見せてもらえて当然と思わずに、窓の景色そのものを楽しむつもりで行くのがいいと思います。同じ時間の使い方として、箱根彫刻の森美術館があります。箱根のお風呂にはそこまで熱が入らなかった旅行者が、それでも来てよかった理由として挙げるのが、たいていここです。どちらも午後いっぱい使えます。
- 夜ふたつめの湯山の上へ宿を移したなら、今夜の湯は昨夜とは別の源泉から来ています。午後を噴気孔の上で過ごしたあとなら、体を沈めきる前に違いがわかるはずです。
西へ。廊下を屋外に持つ町へ

今日は移動の朝です。飾らずに書きます。山を下りて、新幹線に乗り、京都から特急で北へ。街並みが後ろへ去って、田んぼの国を抜け、日本海のほうへ向かいます。着く先は、造りのすべてが箱根と違う町です。城崎は自分たちの町を、ひとつの大きな宿だと言います。しかもそれを文字どおりの意味で言っていて、駅は玄関、道は廊下、宿は客室、七つの外湯は大浴場、と名づけています。町の観光協会がその言葉でそう書いていますし、そこに暮らす人たちは実際に、その外湯を毎日の自分のお風呂として使っています。
- 午前山を下りて新幹線へ箱根湯本から小田原まではすぐで、小田原は新幹線が停まります。今日という日が成り立つのは、この小さなありがたさのおかげです。京都でもう一度乗り換えます。
- 昼特急で北へ城崎温泉行きの列車は福知山を通って北上し、まわりの景色が開けていきます。計画をやめて、窓の外を眺め始める区間です。指定席なので、これは前もって予約しておいてください。
- 夕方前浴衣と下駄と、最初の一湯チェックインして、宿が用意してくれた浴衣に着替え、下駄をつっかけます。四分ほどは自分だけ目立っている気がします。そのあと、通りの誰もが同じ格好なのに気づきます。あとは、いちばん近い外湯まで歩いて始めるだけです。それぞれの湯については城崎温泉ガイドにまとめてあります。
- 夜柳と石の太鼓橋大谿川が町の真ん中を流れ、石の太鼓橋がかかり、両岸に柳が並んでいます。夜になると灯りがともり、通りに響くのは石畳を打つ下駄の音です。どのお風呂よりも、この散歩のほうをはっきり覚えている人が多いです。
七つの戸口、ひとつの湯の町

宿の封筒に入っているパスは、外湯すべての戸を開けてくれます。今日の楽しさは、その七つがどうしても同じものになってくれないところにあります。それぞれ開かれた時代が違い、建物が違い、休みの曜日も違います。この最後のひとつが、どんなおすすめよりもあなたの一日を左右します。入れる湯は、あなたがここに立っているのが何曜日かで決まるからです。いまは二つが改修で閉まっているので、名高い七つは実質五つです。並びはコーヒーを一杯飲むあいだに端から端まで歩けるほど短く、だからみんな、昼までに三つ入ってしまうことになります。
- 朝食前町の人の時間早くから開いている外湯は、朝いちばんがいちばん静かです。そして、旅行で来ている人よりも、ここに暮らしている人と一緒に湯に浸かる可能性がいちばん高い時間でもあります。夏なら、熱いものに身を沈めるのにいちばんやさしい時間帯でもあります。
- 午前山の上の温泉寺へパスなどなかったずっと昔は、湯を開いたと伝えられるお坊さんに感謝を伝えるため温泉寺まで登り、そこで湯に入る許しとして柄杓を授けられました。登るのが気が進まなければロープウェイが上がっています。寄り道としては短く、そのぶん午後の予定をそっと組み替えてしまうくらいのものです。
- 午後並びをたどっていく開いているところを、通りが差し出してくれる順に入っていってください。思っている以上に湯温に幅があり、そのうちのひとつが、人にはうまく説明できない理由であなたのいちばんになります。
- 夜カニか、但馬牛か、その両方か城崎は片側に日本海、もう片側に但馬牛の里を抱えていて、ここの宿の夕食は真剣な行事として扱われます。寒い季節なら、そもそもカニを目当てに予約している日本人のお客さんがかなりの数います。
西へ長い一日、終わりはとても小さな湯

ここは正直に言って長い一日です。城崎から新大阪へ戻り、小倉まで新幹線、そこからソニックで海沿いを別府へ。ほぼ一日が過ぎます。その長さと引き換えに手に入るのは、足元の地面がまるごと変わることです。別の火山のしくみの上に渡り、日本でいちばん源泉の数が多い、それも二位を大きく引き離している県に入ります。着いて一時間もしないうちに、それを体で感じます。ここでの最初の一湯は、たぶん住宅街の角にあるタイル張りの小さな部屋で、自動販売機の缶コーヒーくらいの値段で、仕事帰りの人が三人ほど浸かっています。
- 午前城崎を発つ新大阪方面へ戻る特急に乗ります。前日までに予約を。朝の便は埋まりますし、今日は余裕のある一日ではありません。
- 昼新幹線、そしてソニック小倉まで西へ行き、そこでソニックに乗り換えます。海沿いのカーブを車体を傾けながら走る列車で、疲れた体で乗るには気持ちのいい列車です。
- 夕方前湯けむりの中へ着く別府に入っていくと、家々のあいだの山肌から白い湯けむりの柱が立ちのぼり始めます。車内を見てみてください。まわりの誰も、そちらを見上げていません。
- 夜よその家のお風呂いちばん近い町の湯を見つけて、入ってみてください。地元の温泉道の会が作法を文章にしていて、私が何度も戻ってくるのは、自分をお客さんだと思わないように、という一節です。共同の湯では、あなたは誰かのお風呂にお邪魔している側だからです。入る前にきちんと体を洗うこと。そして熱すぎると感じたら、水道の蛇口に手を伸ばす前に、声に出してそう言うこと。黙って薄めてしまうと、ほかの人がそれを目当てに来たものが消えてしまいます。この一言があるかどうかが、大目に見てもらう側と、迎えてもらう側とを分けています。
湯の生まれる場所

別府の名所は地獄と呼ばれています。ここははっきり書いておきたいのですが、地獄とは源泉そのもので、柵に囲まれて、眺めるための場所になっています。本当とは思えない色をしているものもあり、七つのうち四つは景観の価値で国の指定を受けています。そのまわりでは、鉄輪の町が湯けむりの中で普通に一日を送っています。共同の蒸し場では噴気で野菜が蒸され、側溝が息をして、人はよその町の人が郵便ポストへ歩くような足取りでお風呂へ歩いていきます。一週間かけて注意を払ってきたことが、ここでようやく元を取ります。ここの湯は、通りひとつで変わるからです。
- 午前鉄輪の地獄めぐり七つのうち五つは歩いて回れる距離にかたまっていて、一枚の共通券で二日にわたって全部に入れます。コバルト、灰色、泥。どれも勢いよく噴いています。どれがどれかは別府温泉ガイドにまとめてあります。
- 昼前台所としての湯けむり鉄輪では噴気で料理をします。卵、さつまいも、かごいっぱいの野菜を、地面の穴の上に置いて蓋をする。蒸し上がったものからは、その湯の味がほんのりします。
- 午後残り二つの地獄か、古い木造の共同浴場か残る二つの地獄は、海沿いをバスでもう少し行ったところにあります。町にいたければ、駅の近くの古い木造の共同浴場にはシャワーが一台もありません。床に座って、桶に湯を汲んで、自分にかける。配管が来る前はみんなそうしていた、そのやり方です。ここの湯はとてもいいです。
- 夜最後の一枚締めくくりの湯も、私なら小さいところにします。番台の上に温泉道のスタンプが置いてあって、眺めなど何もない、町の一室。分析書を読んで、湯に入って、そして足がつく前から湯の感じがわかっていたことに気づいてください。
もう1日あるなら
+1日七日目があるなら、私は九州に使います。 由布院は別府から山を越えたところにあって、また違うことをしています。ギャラリーと工芸の店と小さな湖のある、歩く町。湯けむりの隣町よりもやわらかく、丁寧に整えられています。ここには由布院ガイドがあります。もっと内陸へ入ると、黒川温泉が木立の谷にお風呂を点々と散らしていて、日本の温泉好きに好きな湯を尋ねたとき、いちばんよく返ってくる名前です。
空いた一日が旅の前半にあるなら、箱根は一日くらい難なく吸収してくれます。美術館だけでも、湯と湯のあいだの一日が埋まります。城崎からなら、出石が気軽に行ける距離にある蕎麦屋の並ぶ小さな城下町で、三日目の朝をやさしい半日にしてくれます。
1日足りないなら
−1日6日は、多くの旅にとって出せない長さです。もしあなたの旅もそうなら、2泊のブロックをひとつだけ取って、あとの二つは次の機会に待ってもらってください。それを妥協だと思う必要はありません。私自身、このページをそう使います。
箱根は、旅が東京を中心に組まれていて、同じ二日のうちに山と湖とロープウェイとお風呂がほしいときに。三つの中でいちばん行きやすく、その一方で、人の少ない温泉地より一泊の値が張るという評判があります。湯だけを目当てに来た旅行者は、それを感じることがあります。
城崎は、浴衣で湯から湯へと歩く、町そのものが体験になる旅がしたいときに。それに、ここは入れ墨がどの戸口も閉ざさない町です。旅行者によっては、それだけで話が決まります。
別府は、湯がいちばん豊かで、いちばん普段着の姿をしているところを見たいときに。そして、しつらえられたお風呂よりも、裏通りの飾り気のない町の湯のほうが良さそうに聞こえるなら。
どのブロックを選んでも、読み方は一緒についてきます。ここで名前の挙がらなかった町でも、同じように働いてくれます。
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