
岡山城は行く価値がある? 1966年にコンクリートで再建された天守を、旅行者はどう書いているか
1945年6月29日の未明、アメリカ軍のB-29が岡山の街を空襲し、岡山城のもとの天守は焼け落ちました。いま旭川のそばに建っている、黒い壁に金色の飾りがついた天守は、1966年に完成した建物です。集めた181件の声を読んでいくと、およそ5件に1件がこの焼失と再建に触れていました。行ってよかったという声にも、がっかりしたという声にも、同じ話が出てきます。
海外の旅行者は、行く価値があると見ているか
まずは海外の旅行者の声からです。Reddit、TripAdvisor、旅行掲示板、旅行の口コミサイト、Google マップに書かれた岡山城の感想を、書いた人がどう感じたかで分けると、次のようになりました。
がっかりした声のおよそ半分は、再建そのものか、再建した天守の現代的な館内をはっきり理由に挙げています。お城について話し合うRedditのスレッドでは、ある人が岡山城を「木造だった元の城を、コンクリートで複製したもの」と呼び、「中はただの平凡な博物館」と書いていました。Redditに書き込んだ別の旅行者は、「姫路城は城の王様で、しかも当時のまま。岡山城のほうは復元です」と書いています。
残りのがっかりは、再建とは別の理由によるものです。訪れたときに天守が改修工事で覆われていた(2022年に改修が終わる前の話です)、駅から歩くと遠かった、カフェのパフェが期待はずれだった、といった声があります。理由は書かずに、ひとこと「なんだか陰気」とだけ残した人もいました。
好意的な声は、同じ事実から反対の結論を出しています。TripAdvisorに口コミを書いた一人は、岡山城を「姫路城の『姉妹』にあたるお城ですが、あちらと違って第二次世界大戦で破壊され、再建されています」と紹介しました。そのうえで、再建で加わったものとして「4階まで上がれるエレベーターがあり、館内はどこも冷房が効いています。それだけで見学がぐっと快適になります」と書いています。同じTripAdvisorで、中は「とても現代的」なので驚かないように、と書き添えた人も、岡山城を「おそらく、日本で訪れた中でいちばん美しいお城」と呼んでいます。同じコンクリートと同じエレベーターが、ある人には物足りなさの理由になり、別の人には快適さの理由になっているわけです。
同じお城を、日本人の旅行者はどう見ているか
同じ建物について、日本人の旅行者が書いた口コミも集めました。じゃらん、Google マップ、城めぐりの愛好者のコミュニティへの投稿に、個人の旅行ブログ1件を加えたものです。
まず目につくのは、がっかりの帯の大きさです。海外の声では3件に1件近くあったのが、日本人の声では1割に届きません。焼失と1966年の再建という同じ歴史には、日本人の声も113件中19件、およそ6件に1件が自分から触れていて、そのうち多くは好意的な口コミです。じゃらんに書いた60代の男性は「天守が焼失してしまったのが残念です。現存12天守の中に入っていれば国宝級だと思います。」と書いています。この口コミの書き出しは「立派なお城です。」で、残念がってはいても、不満にはつながっていません。
日本人の批判が向いている先は、もっと狭いところです。天守の中に立ったとき、お城らしさを感じられるかどうかが書かれています。城めぐりの愛好者のコミュニティに投稿した人は、「後楽園公園からの、岡山城は、なんとも、素晴らしい。の一言です。」と外からの姿をたたえたうえで、中については「お城の中は現代的な博物館で、風情にはかけます。外からみる方が癒されました。」と書きました。Google マップには、数年前の大改修を経た姿について、こんな口コミもあります。「外観はあまりにも新しくてキレイすぎる見た目がプラモデル感があり、場内はエレベーターやキレイな階段など、なんかお城の風情に欠ける感じが否めませんでした。」 どちらも、再建した天守の中で受けた感じを書いたもので、お城が人をあざむいているとは言っていません。
好意的な声に繰り返し出てくるのは、どれも具体的なものです。季節ごとの夜のライトアップを挙げる人がいて、刀や火縄銃を実際の重さのまま手に取れる体験コーナーを挙げる人もいます。天守は6階建てで、4階まではエレベーターで上がれるので、お年寄りや小さな子どもと一緒でも回りやすいという声もあります。展示は岡山市出身の歴史学者、磯田道史さんの監修で、口コミのうち2件は磯田さんの名前を出していました。
じゃらんの別の口コミには、外観について「ただし目の前にすると作り物感が感じられる。」とあります。それでも展示には「岡山市出身の歴史学者、監修の展示物もよく考えられていて充分に楽しめる。」と書いていて、批判寄りのこの口コミでも、展示はきちんと評価されています。
また来る人もいます。2泊3日の旅行のあいだに4回訪れた人は、開館前の朝、展示を見るための開館時間、夜のライトアップと、時間を変えて足を運んでいました。約40年ぶりに来たという人もいます。
行く前に知っておきたいこと
岡山城は、現存12天守には入っていません。これはチケットを買う前に知ることができます。現存12天守は、建てられた当時の木造の天守がいまも立っている12のお城のことで、姫路城や松本城のほかに10城があります。
岡山城の天守は1597年に武将の宇喜多秀家が建てたものですが、1945年6月29日の岡山空襲で焼け、いまの黒い天守は1966年に鉄筋コンクリートで再建されました。岡山城が「令和の大改修」と名づけた改修は2022年11月に終わり、館内の展示は映像や体験型の展示に入れ替わっています。こうしたことは、どれも岡山城の公式サイトにはっきり書かれています。
1945年より前から残っている建物も2つあります。月見櫓は1620年代に建てられ、本丸に当時から残るただ一つの建物で、国の重要文化財です。西の丸西手櫓も焼けずに残り、同じく国の重要文化財に指定されています。どちらも、入場料を払って入る天守とは別の建物です。集めた181件の声のうち、この2つの櫓に触れていたのは3件だけでした。
黒と金の外観にも、天守台の形にも、それぞれ歴史があります。黒い下見板張りの壁から、岡山城は「烏城」と呼ばれてきました。宇喜多秀家の時代の金箔瓦が出土していて、もとはいまよりさらに金色が多かったと考えられ、そこから「金烏城」という呼び名もあります。天守の土台の石垣と1階は長方形にならず、不等辺五角形をしています。城が建つ丘の形に合わせたためといわれています。日本人の口コミのうち3件は、築かれた時代の違う石垣を見比べるのが面白いと書いていて、石の加工の仕方や積み方に違いが出ているそうです。
岡山城を気持ちよく楽しむための心得
ここまでの声をもとに、温度計の緑の帯に近い訪ね方を短くまとめました。全部そろわなくても大丈夫です。
- チケット売り場に行く前に、何にお金を払うのかを知っておくと気持ちが楽です。中にあるのは歴史博物館と体験型の展示で、建物は約400年前の元の姿をしのばせる再建の天守です。博物館として見た口コミは満足していて、がっかりした口コミには、姫路城のような見学を期待していたものがあります。どちらも数件ずつです。
- 岡山後楽園と組み合わせると、1回のお出かけとしてまとまります。日本三名園のひとつの後楽園は旭川をはさんだ真向かいにあり、あいだは橋でつながっています。両方に入れる共通券は800円で、大人がそれぞれ500円で入るより安く済みます。海外の口コミにも日本人の口コミにも、2つを続けて回った声があります。
- まずエレベーターで上がり、展示は下りながら1階ずつ見ていく。そんな回り方を書いている人が、海外の旅行者にも日本人にもいます。エレベーターは4階までで、最上階の6階へは階段で上がります。
- 英語の案内については、口コミの評価が分かれています。字幕つきの映像や英訳のパネルがあったという人もいれば、展示の多くは日本語だけだったという人もいます。城には英語の展示ガイドがあり、天守の中にあるQRコードをスマートフォンで読み取って使う仕組みです。英語の案内が必要ならスマートフォンを持って行き、歴史の細かいところまで知りたいときは翻訳アプリも用意しておくと安心です。
- 夜に訪ねるのも一つの手です。春・夏・秋の「烏城灯源郷」をはじめ季節ごとのライトアップがあり、日が暮れると天守と敷地が照らされます。何度でも見たい岡山城の姿としてライトアップを挙げた日本人の口コミは、1件だけではありません。
- 建てられた当時の天守を見たい気持ちが強いなら、同じ岡山県の備中松山城が候補になります。現存12天守のうち、山城に天守が残るのはここだけです。便利さより当時の天守を優先したい人に向いています。
ここに書いたことを知っていても、岡山城そのものは同じままです。違うのは、それを知ってから中に入るかどうかです。2つの温度計のどちらでも、がっかりした声のおよそ半分は、再建や現代的な館内にまつわるものでした。
再建されたお城を、当時のまま残る場所とどう比べるかも気になるところです。短い日程で、どこを優先するか迷っていたら、まずは日本で本当に大切なことから。近くの山の上に当時の天守が残る備中松山城は、この記事の下にあるガイドで紹介しています。
出典
- 岡山城公式サイト:トップページ(英語):改修の英語の正式名「Major Renovations During Reiwa」(令和の大改修)と、2022年11月に完了したこと。
- 岡山城公式サイト:天守閣について(英語):黒い下見板張りの壁と烏城の名。宇喜多秀家の時代の金箔瓦が出土し、金烏城とも呼ばれること。石垣と1階が不等辺五角形で、丘の地形に合わせたといわれること。第二次世界大戦での焼失と1966年の再建。
- おかやま観光コンベンション協会(岡山市の観光公式サイト):岡山城(烏城)(日本語):1597年に宇喜多秀家が築いたこと。開館時間は9時〜17時30分(入場は17時まで)、休館日は12月29日〜31日。春・夏・秋のライトアップ「烏城灯源郷」。
- 岡山市:月見櫓の特別公開(日本語):月見櫓は1620年代の建築で、本丸に当時から残る唯一の建物であり、国の重要文化財であること。
- 岡山市:重要文化財(建造物)岡山城西手櫓(日本語):西手櫓が国の重要文化財であること。
- 岡山市埋蔵文化財センター:岡山城跡で出土した天守の焼けた瓦(日本語):1945年6月29日未明の岡山空襲(アメリカ軍のB-29)で市の中心部が焼け、1597年に宇喜多秀家が建てた天守も焼失したこと。
- 高梁市:備中松山城の重要文化財(日本語):備中松山城は現存12天守のうち、山城に残る唯一の天守であること。
- 岡山城公式サイト:令和の大改修(日本語):天守は空襲の後に鉄筋コンクリートで再建されたこと。岡山市出身の歴史学者、磯田道史さんの監修で展示を一新し、体験型の展示と映像を取り入れたこと。
- 岡山城公式サイト:利用案内(英語):大人の入場料は500円。岡山後楽園との共通券は2か所で800円。エレベーターは4階までで、5階から6階へは階段。
- 岡山城:展示ガイドのパンフレット(PDF・英語):天守の中のQRコードで読む英語の展示ガイドと、映像の英語字幕。6階まで上がってから1階ずつ下りる順路。火縄銃・刀・駕籠の体験コーナー。歴史学者の磯田道史さんによる監修。
- 岡山城公式サイト:本丸の見どころマップ(英語):宇喜多秀家が1597年までに築いた石垣、小早川秀秋による継ぎ足し、1688年から1703年にかけての補強。
- 岡山後楽園公式サイト:トップページ(日本語):後楽園が日本三名園のひとつであること。
WMJSは日本人が英語で書き、AIの力を借りて日本語にしています。日本人の目で確かめていますが、翻訳の癖が残っている文があるかもしれません。気になる一文があれば教えてください。一文で十分です。
ありがとうございます。ひとつひとつ、人が読みます。
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